夢ならば

泣かないで。もうこれ以上は何もできないけれど。ぼくらはもう振り向かないと約束してくれたじゃない。あの日見た夕空の記憶をまだ残したまま静かな夜が包んだ。
お互いの温もりを確かめあうことがすべてだと思ってたそれ以外何もなくて。
君の首にかけたトパーズのネックレスが揺らめいて離れないよ。
意味をもつ陽炎がゆらりゆらり漂いながら、君の香をそよがせ。
泣かないで。嘘つきな僕が悪いから諦める事あと少し早ければ。追放された楽園の果てに見た甘い夢に溺れただけ。
勘違いとすれ違いの日々。部屋に溶ける煙草のように緩やかに時は染み付いた。鮮やかすぎた景色のなかで何度君を抱きしめただろう。終わりのない世界があると信じてた。叶わないことはないと願ったのに。