家族の風景

外食するたび、これが最後の家族団欒かなといつも覚悟してしまう。

そして涙に気付かれないようにドリンクを飲み過ぎてるのだ。

そんな事が何年間もずっと続いていたけれど、それがいよいよ本当になるのだと思うと、何も考えられずただゆるやかなBGMに身を任せることしかできないのだった。

百貨店のレストラン階。ビュッフェスタイルの店。作りおきの色と形だけの食べ物が、家族それぞれの距離感と同調されて、ただやみくもに辛いものや甘いものなど、味覚に鞭を振るうような事しかできない。

まわりは皆、普通の顔をしている。普通はいつまでも普通なのだ。普通だから変わらない。変わらないように努力さえしない。変わらないのだ。

幸せを演じる我が家は、最高に幸せそうで、最高に惨めに見えるのだろうな。

ぼくの帽子が深くて本当に良かった。